Live Report















『The World Music Concert “The Roots of Asian Sound”』
 2006年2月18,19日 タイ チェンマイ 
 チャンサトンとの共演


 

     サンプル @
サトル & チャンサトン 
楽器…ひょうたん笛(タイ語:ビホム、ビナムダオ、中国語:フルス、葫芦絲)
「ハム・マック・ムンホワン」(チェンマイバージョン)Satoru & Changsaton 編曲




     サンプル A
サトル & チャンサトン 
「Puja of wind」 Thitipol Kanteewong 作曲 : Satoru & Changsaton 編曲






18、19日、チェンマイ大学美術館とゴンディーギャラリーで演奏しました。

17日の朝、いつものように、突然、グループのリーダーから急な話があった。
いまからテレビに出るって。

11チャンネルの北部タイのエリアで放送されるニュース番組だった。時間ぎりぎりで着き、何の説明も無しにスタジオへ。およそ15分 、キャスターの質問に答えたり、コンサートの宣伝をしたり、そしてひょうたん笛を2曲ほど演奏した。

中国でもテレビやラジオに出たことがあったが、国柄というか、中国ではあらかじめ説明がしっかりあって、日中の歴史問題とか複雑 な政治問題もあるのでそういう発言をしないようにとか、政府を批判するようなことを言わないようにとか、色々細かく説明を受ける 。でも、チェンマイでは何の説明もなし。

コンサートは大盛況だった。宣伝もしていたし、当たり前だけど、テレビを見てかけつけてくれた友人もいた。
本番ぎりぎりまで曲が完成していなくて直前で曲を作ったりするのはいつものこと。ビール缶を1、2本飲んでテンションをあげて演奏 するのもいつものこと。
さすがにみんな本番になるとすごい。
グループは10人で半分はオカマさん。でも男のたくましさと女の細やかな心をもっているから、踊りや音楽といった芸術の才能はずば ぬけている。

2日目は領事館やら大金持やら役人やら、ハイソサエティの人たちが聴きに来るコンサートだったが、みんなリラックスして演奏でき たみたいだ。

いつもおうのだけど、欧米スタイルが浸透した日本社会ではコンサートホールで音楽を聴くとなると、欧米と同じようにドレスアップ してマナーがうんぬんと演奏者と観客がはっきり分かれる。

東南アジアの伝統音楽のいいところは音楽家と観客が分け隔てなく音楽「らしきもの」をつくるところ。外で演奏するのが当たり前で 、鳥や動物の鳴き声、自然の音に溶け合ってその場所のサウンドスケープができる。食べ物もその場で炭火で焼いたり蒸したり、煙や 土埃の匂いを漂わせてその場所をつくる。
旋律も短いフレーズをいくつかの楽器の演奏者が即興でアレンジしながら長々と繰り返す。即興で、適当にというところが、そういう 感じがとても心地よい。

でもチャンサトンというグループの今回のようなホールでの演奏はとても緊張感にあふれていて、はたして観客は楽しんでいるのかわ からない。
どうもステージと客席に壁があるようで違和感を感じる。
それも言葉がすくないからかもしれない。今回のMCはあまりにも下手で1時間30分のあいだ観客の緊張は解けない感じだった。メン バーが自分たちでMCができればいいのだが。MCを担当した先生も今回が初めてだったので無理もないのだろう。

でも、演奏会には、ずば抜けたテクニックを使った曲や奇抜な曲があったり、そんなときは観客の緊張が解けて不思議そうに聴き入っ ていた。

いつも伝統音楽はその場の飾りみたいにあつかわれる。
欠かせない要素でありながら、かといってもてはやされるわけではない。いつからか欧米式音楽概念の影響があって、今はホテルやレ ストランでの生演奏に消費されている。

彼らはそんな立場の音楽と自分たちの存在を、チェンマイの伝統をベースにした新しい音楽で訴えかけているのだろう。
もちろん、彼らの演奏の殆どはホテルや野外で即興で楽しみながら演奏することが多い。年に1、2度くらいはこうした大きなコンサ ートをする。まだまだこれからきっとこのグループは成長するんだと思う。
これまでも数多くの海外公演を繰り返しているし、将来が楽しみだ。

そんな彼らと一緒に演奏できてとても楽しかったし、いつもながら、いろんなことを学ばせてもらった。




















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